お金2.0 新しい経済のルールと生き方 (NewsPicks Book)
- 作者: 佐藤航陽
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2017/11/29
- メディア: Kindle版
- この商品を含むブログ (3件) を見る
楽天スーパーSALEで楽天ブックス利用特典を得るためになんとなく買ってみたこの本。2017年は自分としても仮想通貨のマイニングをやり始めた年、だけどその知識は曖昧なものなのでもう少し知っておかねばと思い読んだ次第です。
読書感想文とか苦手な宿題だったし、めったに本の感想とか書きませんがいろいろ思うところもあったので書いてみます。
※ 後半からは空想が暴発した結果です。SFになってしまいました。でも現代のテクノロジーも100年前からしたら十分SFですよね。この本を読んで「こうなるんじゃないかなぁ」と思った想像であり、本に書いてある内容とは異なりますのでご注意ください。
何故お金は2.0なのに人類は急に3.0なのかは
この記事を見る限り現状の人類がアフリカから世界中へ生存圏を広めはじめた時点が2.0らしいからです。
そもそもお金とは何なのか、善なのか、悪なのか?
なんとなくお金って汚いもののイメージがあるんですが、何故でしょうね。ここに対する答えも書いてありました。
資本主義社会の現代においてお金の重要性が高すぎるために、それを得るための倫理や人の感情の重要性が相対的に下がっている。とか、人間は厳しい状況におかれると"誰か、何か"を悪者にしたくなるとか。
しかし、お金とはそもそも「ただのシステム」に過ぎないとのこと。昔々の物々交換では多くの人間同士で物の価値を取引したり保存したりするのに不都合があったから お金 というシステムが考案された と。
一人で到底消費できない食料をいくら溜め込んでも食べきれないうちに腐ってしまうので意味がない。でもお金という腐らない”価値”に変えて保存しておけば好きなときに食べ物に交換できる。確かにすごいシステムの発明だと思います。
キングダムでもお金は人間の欲望のタガを外す発明だ みたいな話もでてましたね。
でもお金に感情はない。人間がお金というシステム内で自分のために最善を尽くして動くと自動的に偏りが生じるというお金というシステムそのものの欠陥らしい。
経済とは欲望のネットワーク、資本主義から価値主義へ
「経済とは欲望のネットワーク」これはすごく分かりやすい文だと思います。あれが欲しい、これが食べたいという人間の欲が人間のネットワークでお金という形をとって移動しているのが経済。
そして本書で度々出てくる言葉「価値」
この価値という言葉?概念?の捉え方が最も重要な部分だと思います。
「現状の資本主義が価値主義に変わって行く」というのを要約すると
資本主義「お金を持っているやつが偉い、お金が価値を決める、売り主が価値に値段を付ける」
価値主義「価値を持っているやつが偉い、価値は価値と交換する、価値はネットワーク上で相場が瞬時に共有されている」
みたいな感じでしょうか?うーん言葉って難しい。
価値という曖昧な物を万人が理解できる「数字」に変換したのが「お金」だと思うのですが、この本が言いたいことに当てはまってないようなそうでもないような。
結局のところ現代の人間が何に価値を見出すのか、これの変化が大きいと思います。
ちょっと前からよくいわれている「もの消費→こと消費」みたいなもんですね。
テクノロジーの発達が可能にするシェアリングエコノミー
良い車を持っている、良い家を買った、などの価値が重視された時代は終わりが近い。それがシェアリングエコノミー?
車の本来の存在意義は、効率的かつ迅速に人やモノを物理的に移動させる”手段”であり、個人が持っていなくても安くもしくはタダで使えるなら、車自体の価値は"楽に早く移動できる"という面に集中しそうです。
家の本来の存在意義は、安全に生活できる"こと"であり、個人で所有しなくても誰でもキレイなホテルに安くもしくはタダで住めるなら、家を所有するとう価値は相対的に下がるでしょう。
ただし、これらの実現にはテクノロジーの力が必要不可欠です。
車の自動運転が一番想像し易いでしょうが、全世界の車が自動運転になれば、免許は要らない、ドライバーも要らない、そうなれば免許をとるお金もドライバーの給料も無いのだから格安のタクシーになるでしょう。
半端な自動化が人間の仕事を奪う
ここで多くの人が疑問に思うのが、じゃあ人間の仕事は?ドライバーをやっている人間はどうするの?仕事が無くなるじゃないか。ということ。
確かにそうです。部分的に人間の仕事がテクノロジーに置き換わる場合にこの問題は発生し得ます。しかし、全てがテクノロジーに置き換わった場合はどうでしょう。
格安タクシーではなく、完全無料なら?食べ物もタダでホテルもタダなら?
そもそも仕事でお金を稼ぐ必要性がなくなってしまいます。
経済全てが自動化されて人類3.0の誕生
数年で実現とはいかなくても、これらは不可能では無い気がします。
タクシーを製造するのも燃料を掘るのも運搬するのもシステムを運営するのもテクノロジーに置き換われば、価値の移動がなければ、それらはテクノロジーから無償で提供されるものになります。
人間が生活するのに必要な物資・場所・機能が全て無料となった世界では、お金という経済システムが抱えていた「自然発生する資本の偏り」という欠陥が存在しません。
人類は人類を生かすために相互に労働する必要が無いからです。
ここまできたら人類がバージョンアップしたとでも言いましょうか。人類3.0の誕生です。
では、お金や経済というシステムそのものが消滅する?
いいえ、人間の欲望はこんなものではありません。
全自動で人類を生存させられる人類3.0は人類4.0を目指す
何もしなくても衣食住が手に入る人類3.0は何に"生きる意味"を見出すでしょうか。衣食住を全人類が手に入れても人間はまだまだ満足しません。
マズローの欲求段階説を見てみましょう
生理の欲求 生命を維持するための本能的な欲求で、食事・睡眠・排泄など。
安全の欲求 安全性、経済的安定性、良い健康状態の維持、良い暮らしの水準、事故の防止、保障の強固さなど、予測可能で秩序だった状態を得ようとする欲求。
社会欲求と愛の欲求 自分が社会に必要とされている、果たせる社会的役割があるという感覚。
承認(尊重)の欲求 自分が集団から価値ある存在と認められ、尊重されることを求める欲求。
自己実現の欲求 自分の持つ能力や可能性を最大限発揮し、具現化して自分がなりえるものにならなければならないという欲求。
人類3.0においては、上記のうち1~2は確実に満たされた状態でしょう。それでもまだ3段階も残っています。
既に全人類の3~4段目の欲求を満たす基盤は整いつつある
人類3.0がまず目指すのはコミュニティに参加、認められるということ。しかし、これは既に現代社会にインフラが整いつつあります。そう、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)です。
これに全人類が参加し、自分が適していると思える何らかのコミュニティに所属し、友好関係が築ければ3~4段目の欲求は満たされるでしょう。人類3.0になっているころには、音声のリアルタイム翻訳により言語の壁もなくなっていると思います。
しかし、インフラが整ったとしても人間のこの欲求を満たせるのは人間だけ。確実に手に入る衣食住に価値が無くなったとしても、「必要とされたい」という欲が満たされない者がいる限りそこには経済の概念が発生します。
衣食住以外の価値「認めるという行動」の取引
衣食住を提供するということに価値がなくなった人類3.0は、それ以外に価値を見出します。
これも現代で既に存在するものですが、総じてエンターテイメントと呼ばれるジャンルです。
映画、音楽、絵、ゲーム、テレビ、雑誌、小説、ブログ、YouTube、など。ようは娯楽ですね。これらは人間が存在する限りは「観たい」「聴きたい」「読みたい」「書きたい」「作りたい」という欲求が生まれ、存続し、取引されていくでしょう。
前述した「必要とされたい」という欲がベースに存在するのでこの取引では「評価」と言うものが通貨の代わりを担います。Facebookでいうところの「いいね」や、ユーチューバーにとっての「再生数」「チャンネル登録数」などですね。
しかし、これらは特定のアカウントやチャンネルに対して付与されるので誰かに分けてあげるということができません。
そこで、この「評価」を流通させてなおかつコンテンツの質の良化が見込める経済システムを考えてみました。
評価に重みと期限を持たせ、評価を評価してもらう
これは僕の案ですが、評価に重みと期限をもたせることで流通が可能かと思います。
- 得られた評価は一定期間ごとにリセットされる
- 高評価なユーザーの付ける評価は低評価なユーザーの付ける評価より価値がある
- 評価そのものを評価することで、一定量の評価が得られる
この本の評価経済の概念、トークン、スタンプ貨幣とディープラーニングの”重み”、ビットコインのマイナーのメリットの概念を織り交ぜた感じです。
これなら「資本の偏り」という欠陥を期限で解消した上で承認欲求を満たし、可視化されたヒエラルキーが報酬系を満たす、もしくはモチベーションの向上に繋がる。評価するという行動と内容そのものを評価の対象として連鎖させることで、評価の質を向上させる。
こんな感じでどうでしょう。時限式評価コイン(Stamp Evaluation Coin)とでも言いましょうか。
承認欲求すら自動供給される世界へ 人類4.0の誕生
上記まではあくまでも現実世界の、つまり人間同士でのコミュニティーの話でしたが、AR・MR・VRからさらに発展し、BMIによる仮想世界への接続へ到達すれば世界の選択や創造も可能になり、現実や仮想の垣根そのものがあやふやになっていき、区別する意味自体が無くなるかもしれません。
攻殻機動隊とかの世界が近いでしょうか。
AIも人間のコミュニケーションを完全に模倣できれば、完全に自分の理想とする世界を創造し、選択し、人間の全ての欲求をバーチャル上で満たし、完結できてしまいます。
この頃には自分自身をデータ化するような技術や不老不死化するようなものも出てきているかもしれません。しかし、そうなると次の問題が発生します。
自分自身の複製が自己実現の欲求を破壊する
自己保存の欲求に従い、自分を複製するとここに矛盾が生じます。バイオハザード: ザ・ファイナルのアイザックス博士のような感じです。
自分こそがオリジナルだと全ての自分が思っているが、複製が存在すると自覚した時点で「何者か」になりたいという欲求が崩壊します。自分が死んでも代わりはいくらでも居るというのではやりきれませんね。
ではこれをさらに解決するには?
- 人類のデータそのものをブロックチェーン化して改ざん不可能にする
- 複製ではなく時間のロールバックによる回復で自己保存を実現
後者は途方もなくSFの世界の話ですね。
人類がただのデータなら物理的な時間は無視して巻き戻せる
現段階では前者が創造しやすいかと思います。ビットコインのように全人類のデータを全人類がそれぞれで保有して相互に承認させ、実質的に複製を不可能にした上でブロックチェーンをまるごとバックアップ、問題が起きたらハードフォークという具合に人類そのものを枝分かれ可能かつバックアップ可能な一つのハードディスク上のデータかのように扱う方法です。
これなら物理的な時間軸を無視してデータのみをロールバックさせられるので、実質そのブロックチェーン上では時間を巻き戻したのと同義でしょう。
後者の物理的な時間の巻き戻しよりはまだ想像つく。
ここまで来たら人類4.0かなぁ。
以上、深夜に書いたので空想爆発してます。もしこの記事が人類3.0まで残ってて空想が現実になってたら、是非とも時限式評価コイン(Stamp Evaluation Coin)をいっぱいください(笑
お金2.0 新しい経済のルールと生き方 (NewsPicks Book)
- 作者: 佐藤航陽
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2017/11/29
- メディア: Kindle版
- この商品を含むブログ (3件) を見る