計画から公開まで、AIエージェントをどう使い分けたかの実例記録。
この記事でわかること
- AIコーディングエージェント「Antigravity」でWebツール集を構築した実例
- NotionAI × Antigravityの具体的なワークフロー
- 3週間見積りの実装を1日で完了させた並列実行の仕組み
動機
業務で使うWebツール、探せばいくらでも見つかる。全角半角変換、JSON整形、CSV加工……。
ただ、どれもちょっと引っかかる。入力したデータ、サーバーに送信されてないか?
業務データを扱う以上、「たぶん大丈夫」では済まない。情シスとしてはなおさら。
かといって既存ツールのUIは古かったり、広告まみれだったり。仕事で使うには微妙なものが多い。
なら自分で作ろう、と思った。
完全クライアントサイド処理。サーバーへのデータ送信ゼロ。モダンUI。
ちょうどAIコーディングエージェントの実験もしたかったので、開発の大半をAIに任せる前提で始めた。

技術スタック
| 項目 | 技術 |
|---|---|
| フレームワーク | Astro + React Islands |
| UIコンポーネント | shadcn/ui + Tailwind CSS |
| ホスティング | Cloudflare Pages |
| CI/CD | GitHub Actions |
| テスト | Playwright(E2E) |
| コスト | 実質 ¥0(Cloudflare Pages + GitHub Actions 無料枠) |
Astro + React Islandsの組み合わせは、AIエージェントとの相性がいい。ツール1つ追加するのに「ロジック(lib)+ コンポーネント(component)+ ページ(page)」の3ファイルで完結する。テンプレートが定型化されるので、AIへの指示がシンプルになる。
ソースコードは GitHub で公開している。「サーバーと通信しません」を口だけでなくコードで証明するため。
👉 github.com/maru0014/tools-codelife-cafe
AIワークフロー:計画 → プロンプト → 実装
このプロジェクトでは、2つのAIエージェントを役割分担して使った。
計画フェーズ:NotionAI(Opus 4.6)
最初にNotionAIに企画書の作成を依頼した。渡した情報はざっくりこんな感じ。
- codelife.cafeというドメインでブログを運用している
- tools.codelife.cafe というサブドメインでWebツール群を提供したい
- 広告収益を得たい
- 似たWebツールはたくさんあるが、データを収集されたりせず、仕事で安心して使える、使いやすくカッコいいWebツールがそもそも自分が欲しい
NotionAIはここから深掘りの質問を返してきた。ツールの初期ラインナップ、技術スタック、データ処理方針、ビジネス面、スケジュール・リソース。必要な情報を順に聞いてくる。

回答を返すと、ホスティングはCloudflare Pagesが最適解、技術スタックはAstro + React Islands を推奨という提案付きで企画書を生成してくれた。競合分析(ラッコツールズ、IT-Tools、CyberChef等)、収益試算、リスク分析、ロードマップまで含む、かなり網羅的な企画書だった。
↓参考までに企画Notionページそのまま公開しちゃいます
👉 企画書:tools.codelife.cafe — 仕事で安心して使えるWebツール集 | Notion

この企画書をベースに、Phase 2(7ツール追加)のAntigravity向け実装プロンプトもNotionAIに生成させた。各ツールの仕様、共通ルール、バッチ分割、並列実行ガイドまで一式。
NotionAIの役割は「計画と設計」。 コードは一行も書かせていない。
実装フェーズ:Antigravity(Gemini 3.1 Pro)
NotionAIが生成したプロンプトを、そのままAntigravityに渡して実装させた。
Antigravityの強みは Agent Manager による並列実行。複数のエージェントを同時に走らせて、それぞれ別のツールを実装できる。
Phase 2の実行順序はこう設計した。
Step 1: E2Eテスト基盤 + CI統合(単独) ↓ Step 2: Batch A — 3エージェント並列 - Agent 1: 和暦⇔西暦変換 - Agent 2: Base64変換 - Agent 3: 正規表現テスター ↓ Step 3: Batch B — 3エージェント並列 - Agent 4: SQL整形 - Agent 5: ダミーデータ生成(日本語) - Agent 6: 個人情報マスキング ↓ Step 4: Batch C — 単独 - Agent 7: CSVビューア/エディタ ↓ Step 5: 仕上げ(E2Eテスト作成 → SEO最適化)
依存関係のないツールは並列で一気に実装。共通ファイル(トップページのグリッド、ナビゲーション等)への変更は仕上げステップでまとめてコンフリクトを回避。

Antigravity Agent Managerによる並列実行で、Phase 2の7ツール追加+E2E+SEOを1日で完了させた。
公開ツール一覧(全13ツール)
すべてのツールは 完全クライアントサイド処理。サーバーへのデータ送信は一切なし。
Phase 1:初期5ツール
| ツール | 概要 |
|---|---|
| 全角⇔半角変換 | カナ・英数・記号の全角半角を個別指定で相互変換 |
| 文字数カウント | 空白込み/なし、バイト数、行数をリアルタイムカウント |
| JSON整形 | JSON文字列の整形・圧縮・バリデーション |
| QRコード生成 | URL・テキストからQRコードを生成。サイズ・色変更、PNG/SVGダウンロード対応 |
| テキスト差分比較 | 2つのテキストの差分を行単位・文字単位でハイライト表示 |
Phase 2:追加7ツール(Antigravityで1日実装)
| ツール | 概要 |
|---|---|
| 和暦⇔西暦変換 | 明治〜令和の和暦と西暦を相互変換。干支・年齢も表示 |
| Base64変換 | テキスト・ファイルのBase64エンコード/デコード。Data URI出力対応 |
| 正規表現テスター | リアルタイムマッチング、キャプチャグループ表示、置換モード付き |
| SQL整形 | MySQL/PostgreSQL/T-SQL等の方言対応。整形・圧縮・キーワード大文字化 |
| ダミーデータ生成(日本語) | 日本語の氏名・住所・電話番号等のテストデータを一括生成。JSON/CSV/TSV出力 |
| 個人情報マスキング | メール・電話番号・カード番号等を自動検出してマスキング |
| CSVビューア/エディタ | CSVファイルの表示・編集・ソート・フィルタ。Shift-JIS対応 |
Phase 3:新規追加
| ツール | 概要 |
|---|---|
| ユニコード相互変換 | 文字とユニコードコードポイントの相互変換 |
品質担保
AIに実装させたコードの品質担保も、AIで回した。
- Playwright E2E テスト — 全ツールの基本動作(入力→出力→コピー→クリア)をCI/CDで自動実行
- GitHub Actions — PRごとにE2Eが走り、mainマージで自動デプロイ
- Antigravityによる全ツール動作確認 — 実装後、Antigravity自身にブラウザ自動実行エージェントで全12ツール(当時)の動作検証とデザイン改善提案を出させた
結果、機能面でのバグはゼロ。レスポンシブ対応も問題なし。デザイン改善の提案は的確なものが多く、Phase 3以降のバックログに積んである。

まとめ
AIエージェントの使い分けが肝。
- NotionAI(Opus 4.6) → 企画・設計・プロンプト生成。構造的に考えて、網羅的な計画を出すのが得意
- Antigravity(Gemini 3.1 Pro) → コード実装。並列実行で圧倒的な速度
「AIに丸投げ」ではない。AIへの指示の質がそのまま成果物の質になる。 NotionAIに企画書を作らせ、その企画書からAntigravity向けプロンプトを生成させ、そのプロンプトで実装を回す。計画の精度が実装の精度を決める。
3週間 → 1日。この差は「AIが速い」だけじゃなく、「AIが並列で動ける設計にした」から出た結果だったりする。
👉 ツールを使ってみる: tools.codelife.cafe
👉 ソースコード: GitHub — maru0014/tools-codelife-cafe